お礼、言われるためにやっているわけではないけれど。
最強さんから引き継いだ曜日で、夕方個人レッスンの小学生の女の子がいる。
最強さんとは、数ヶ月前にスクールを辞めた従業員のことで、彼女のことはまだ書ききれていない。
その名の通り、最強過ぎて(笑)。。
今日話したいのはその最強さんではなく、かつて彼女が担当していた曜日に通う小学3年生の女の子の話。
札幌から転校してきたという彼女、背が高く実際の年齢より2学年は上に見えるだろうか。。
いつも1人でレッスンにやって来て、終わるとまた1人で帰って行く。
とは言え、何度も言うが彼女は小学3年生。レッスンの終わりは6時半過ぎ。冬ともなれば真っ暗だ。
おうち、近いの?
ううん。
おうちの人、誰かお迎えに来てるの?
下に、駅の方にお母さんが車で来てる。
彼女のレッスンが終わり次の生徒さんが来るまでの間、約5分。
誰に頼まれたわけでもないけれど、心配で、いつも一緒にビルの下まで降り、彼女が車に乗り込むところまでを見届けてからスクールに戻っている。
お父さんの時もある。
通り過ぎる車の助手席から、彼女に手を振られることは何度もあるが、運転席の保護者からは1度も「こんにちは」や「ありがとう」のお辞儀をされたことはない。
別に、お礼を言われるためにやっているわけではないけれど、せめて「こんにちは」ぐらいは欲しいものである。
そんなある日、小学生の彼女が予定よりも1時間も早くスクールにやって来た。また、いつものようにたった1人で。。
10分程度であれば、宿題をチェックしたり、ちょっとした雑談でもしていれば優に過ぎていく時間であるが、1時間はさすがに、まずあり得ない。
どうしたの?レッスンまでまだ随分時間があるよ。
時計を見て、彼女もまたビックリした様子。
今日皮膚科に行って、そこから来たの。なんか早く終わったみたい。
困ったな、私もお仕事があるし、1回お母さんに電話しようか。
電話をかけると、何やらひそひそ話のように話すので、
ごめんなさい。お仕事中でしたか?と尋ねるもいいえと答える。
まだレッスンまで軽く1時間はあることを伝えると、申し訳ありませんが、そこで待たせて下さいと。。
てっきり、すぐ迎えに行きますと言ってくれるとばかり思っていたので、完全に面食らってしまった。
あ、ごめんなさい。職員がたくさんいるわけではないので、〇〇ちゃんをずっとみてあげることができないんですね。何かあっても大変ですし、、
あの、別にみてくれなくて構いませんので。
え?あの、、
確かに小学3年生にもなれば、スクールに1人でいて怪我をするとか、何かある年齢ではないとは思うが、私がお母さんに伝えたいのはそこではなくて、
迷惑はかけませんので。おとなしく座ってるよう伝えるので。
この人は、小学生の子どもが本やゲームもなしにたった1人で1時間、おとなしく座っていられると本気で信じているのだろうか。。
分かりました。じゃあ帰して下さい。行き帰りで往復、40分はかかりますけど。
迎えに来るの、そんなに難しいのかな?今思えばそうハッキリ聞けば良かったのだけど。。
そうすれば、私も無駄にイラッとすることもなかったのに。
分かりました。では申し訳ありませんが、そうさせてもらいますね。
それ、本人が望んでいるんですか?
ダメだこりゃ。。
〇〇ちゃんとお話になりますか?
彼女がこのままスクールに残るのは、誰が見ても明らかだった。